【離職防止】歯科医院やクリニックで戦力となる人材へ育成する方法とは

人材育成

どんな業種においても、「人材育成」や「スタッフ教育」というのはかなり重要なテーマだと言えます。

どれだけに優れた商品やサービスを扱っていたとしても、それらを取り扱う人材が育っていなければ、継続して結果を出し続けることはできません。

また、どれだけ技術の優れた人材を確保したとしても、他者との連携をスムーズにこなせる能力がなければ組織としてポジティブな結果を出すことはできません。

その逆に、人材育成に成功した組織は、あとからでも良い商品やサービスを生み出したり、技術を習得し他者と連携を取りながら結果を出し続けることが可能となります。

歯科という分野においても、人材育成は同じように「最重要課題」の1つです。

この記事では、「歯科医院やクリニックで戦力となる人材へ育成する方法とは」というテーマについて解説していきたいと思います。

目次

そもそも、人材育成とは?人材開発との違い

人材育成とは、文字通り「人を育てること」です。

組織における人材育成は、一個人としての成長という部分はもちろんありますが、それ以上に「組織に貢献してくれる人材」になる為に育てることが目的となります。

従業員の成長を促していくことが「人材育成」であるのに対して、その人材の持つ潜在能力を引き出しながら組織にとってプラスの効果を生み出していくことが「人材開発」となります。

どちらも非常に重要なものではありますが、より良い歯科医院を目指すのであれば、人材育成はもちろん、人材開発も行っていく必要があると言えるでしょう。

人材育成で真っ先に共有したい3つの大切なこと

経営ビジョン・方向性

人材育成といっても、実際に行っていくには細分化して考え、取り組ませていかなければなりません。

個人的に絶対に必要かつ真っ先にやった方が良いものだと感じていることは

1 医院、クリニックの文化(理念・ビジョン)
2 医院、クリニックの基本ルールや方針
3 医院にとって、どういう人材になってくれることを望んでいるのか?

この3つを共有することになります。

何故なら、医院やクリニックによって、目指すべき方向性やルールが異なるからです。

Aの医院では当たり前にされていたことが、新しく勤める貴院では、当たり前ではないかもしれません。

そのため

・何を目指している医院なのか?(理念やビジョン)
・何が良くて、何がダメなのか?(貴院のルール)
・院長は何を歯科衛生士や受付、技工士に求めているのか?(評価)

というのは、しっかりと共有しておいた方が良いでしょう。

また、「長期的な視点で人材育成を捉える」ということも非常に大切なことであると言えます。

組織としては、1日でも早く人材育成を進め、ポジティブな成果を出せるようになってもらいたいと考えたくなりますが、焦りは禁物です。

冒頭でも挙げた通り、人材育成やスタッフ育成は組織にとって最も重要なテーマとなるので、じっくりと時間を掛けて取り組んでいかなければなりません。

いくら良い人材に育てることができたとしても、スタッフがその過程に不満を持ってしまっていたならば、離職の可能性が上がり、組織として大きな損失となってしまいます

たとえ、一人前のスタッフになるのに時間が掛かったとしても、リーダーとしての役割を担えるまで時間が掛かったとしても、その後長期に渡り貢献してくれるようになれば、組織にとって大きなプラスとなるはずです。

そういった意味でも、焦らずに長期的な視点で人材育成をしていくということが大切だと言えるのです。

人材育成の課題について

歯科医院などでも、もちろん人材育成や人材教育を積極的に行うべきです。

しかしながら、多くの医院で問題が生じています。

それは、ミスが許されない医療行為であるがゆえに、日々の業務量も多く一定以上の質も求められるため、「育成」という部分に労力や時間が割けないことが多いという点です。

成長を促したり潜在能力を引き出す役割である歯科医師自身が治療のメインとなる特性上、歯科衛生士やその他のスタッフを教育することがなかなかできないのです。

人材育成に必要な3つのスキル

人材育成を進めるためには、以下の3つのスキルが必要であると考えられます。

歯科医師としての技術に優れているだけでは決して良い人材育成がで切るというわけではないので、しっかりと意識してスキルを習得する必要があると言えるでしょう。

1 観察力

観察力

観察力というスキルで得られるのは、「現状を把握することができる」ということです。

歯科医院が現在どのような状況で、各スタッフがどのような動きをしているかを理解できれば、「現状の正確な把握」が可能となります。

現状が把握できていない状態で人材育成をしようとしても、育てるどころか逆効果になってしまう可能性もあります。

日々観察力をフルに活かして各スタッフの動きを把握していれば、考え方やスキル、行動の特性、価値観などを知り、どのy9応に育成していくとより成長を促せるかがわかります。

育成する立場としては、決して「推測」で話を進めてしまってはいけません。

必ず自分が観察した事実を基に進めていくべきだと言えるでしょう。

2 共感力

共感力

人材育成を成功させるには、「共感力」も非常に重要となります。

いかに観察力に優れていたとしても、各スタッフに共感をせずに頭ごなしに指摘していては決して成長を促すことができません。

「新人教育は大変だよな。今はどういう部分で苦労しているのかな?」

「自分も昔同じところで悩んでいた経験があるな。いつでもアドバイスするから、1人で解決しようとしなくてもいいぞ」

「最近かなり業務を抱え込んでいるから大変そうだけど大丈夫か?」

「以前だったら難しかったが今はもう余裕を持ってできるようになったな。凄く成長を感じられるよ」

このようなひと声を掛けたり、実際に寄り添って問題解決ができるかは、人材育成において大事なポイントです。

共感があることで、「自分の成長を見てくれている」「期待してくれている」「気持ちをわかってくれている」という心情になり、より信頼関係が深まっていくはずです。

3 洞察力

洞察力

洞察力は、観察力と似たような意味で使われることも多かったりしますが、実は明確な違いがあります。

観察力が「目に見える部分」を見るのに対して、洞察力は「目に見えない部分」を見るということです。

歯科医院で言えば、日々の業務をこなすスタッフさんの動きや顔色などから、「心の状態」を察知するのです。

「何か悩みを抱えているかも?」
「体調が悪いのかも?」
「アドバイスを欲しているかもしれない」

など、目に見えない部分を見抜くことができるようになれば、よりスタッフさんとの関係性も構築することができ、人材育成の効果を高めることに繋がります。

観察力がなければ洞察力も発揮することができないので、まずはスタッフさんを観察できる力を先に養っていくことが重要となるでしょう。

人材育成のフレームワークを活用する目的・重要性とは

PDCA

フレームワークとは、過去の様々な経験によって得られた結果や理論を基に生まれた「思考のフレーム(枠組み)」のことです。

有名なフレームワークで言うと、「PDCAサイクル」や「3C分析」などが挙げられます。

複雑な問題を論理的に解決できる特性があるので、業務の効率を上げることができます。

そして、このフレームワークを人材育成に活用することで、より分かりやすくシンプルに伝えることができ、育成の精度を高めることが可能となるのです。

フレームワークのメリット

人材育成のフレームワークを活用すると、以下のようなメリットを得ることが可能となります。

どのような人材も育成することができる

人によってスキルも違えば物事の考え方も違いますよね。

その人ごとに合った育成法を考え、実行していくのは、かなりの労力が必要となってしまいます。

しかし、人材育成のフレームワークを利用すれば、どんなタイプの人材にも応用でき、育成のムラを失くすことが可能となるのです。

・悩む時間を短縮できる

フレームワークを人材育成に活用すると、課題に直面した際の悩む時間を短縮できます

組織として蓄積された経験によって、容易に課題解決へのヒントを提示することができるのです。

フレームワークのデメリット

フレームワークを人材育成に活用することは、前述した通り大きなメリットを得ることができるのですが、同時にいくつかのデメリットがあるというのも事実です。

フレームワークの範囲が限定されてしまっている

どのような仕事にも言えることですが、フレームワークだけですべての業務に対応できるというわけではありません。

時にはフレーム外の手法を使い、柔軟に物事を考えながら人材育成をしていかなければなりません。

本質が見えにくくなる

フレームワークは、目の前にある課題に集中しやすいという特性があるので、物事の本質を忘れてしまいがちになるというデメリットがあります。

しっかりと育成者が物事の本質も説明しながら進めていくことが重要だと言えるでしょう。

現代の若者の特性を理解する

若い世代

人材育成のフレームワークは、基本的にそれまでの組織として蓄積された情報や経験が基となっていますが、そこにもう一つ加味しなければならないものがあります。

それが「現代の若者の特性を加味する」ということです。

これまでの常識が通用しなくなるほど、現代の若者の価値観は昔と変化しています

例えば

・ストレスへの耐性が低くなり、転職という選択をしやすい

・直接的に怒られることに慣れていない

・人と深くかかわることを避ける傾向にある

・リスクを嫌い積極的に自ら行動する力が少ない

・他者からの評価に非常に敏感 など

特に2000年以降に成人を迎えるミレニアム世代もそれ以前の世代と比べれば前述した特徴を備えていますが、その後の世代である「Z世代(1996年~2015年に生まれた世代)」は、よりこの特徴が色濃くなってきています。

今後はこのZ世代が人材の中心になっていくことを考えれば、上記で述べた特性をしっかりと理解した人材育成法を確立することが重要だと言えるでしょう。

新人スタッフ教育や育て方

新人スタッフ

新人スタッフを育てるには、基本的にはその新人スタッフの成長を促せるスタッフを作ることが重要です。

歯科医院に限らずですが、常に業務を教える人が違ってしまうと、新人スタッフが「何が正解なのか分からない」「教わっていないことを求められる」といった状況に陥ってしまうケースが多かったりします。

しかし、育成担当のスタッフがいれば、その新人スタッフは

・どんな業務が可能なのか?
・どのような強みがあるのか?
・どんな課題があるのか?

これらをしっかりと把握することができれば、新人スタッフに余計なストレスを抱えず、かつ的確なアドバイスをすることができてきます。

また、育成担当スタッフから医院すべてのスタッフへ新人スタッフの育成状況を共有するということも非常に重要だったりします。

これができれば、医院全体で新人スタッフへのフォローをスムーズに行うことができ、患者さんに迷惑を掛けることなくスムーズに業務を進めていくことができるはずです。

ただ、院によっては、「人材育成担当」を作ることが難しいと思うかもしれません。

その場合は、「貴院の人材育成マニュアル」も必須となります。

育成担当スタッフが独自の考えで育成してしまっては、「組織としての足並みが揃わないリスク」であったり、「能力を見誤る」可能性がリスクとして生じてしまいます。

そのため、院長や幹部スタッフ、そしてすべてのスタッフが確認しないでも、率先して動いていけるようなマニュアルを作り、それを徹底させていくことで、戦力となる人材となり、医院の安定した運営が可能となります。

新人スタッフの育成時も、そのマニュアルを説明しながら教えていくことで、医院の戦力として育てることができるのです。

幹部スタッフの教育や育て方

また、幹部スタッフを育てることも重要です。

歯科医院においての幹部スタッフとは、経営責任のある歯科医師ではなく、それ以外の雇われている歯科医師や歯科衛生士となるでしょう

そういった幹部スタッフが主体性を持ち、医院を常に高いレベルに保つことができるのが理想的な形となります。

・院長自らが幹部スタッフとコミュニケーションを取り、目標意識を持たせる

・主体性を持たせ、歯科医院に愛着を持ちながら業務にあたらせる

・定期的なフィードバックを行い、幹部スタッフとしての成長を促す

・他の歯科医師や歯科衛生士、受付スタッフなどの各スタッフの強みや課題を把握させる

・歯科に関わるスキル向上の意識を持たせる

幹部スタッフに現場を一任するのではなく、しっかりと主体性を持たせながらも密にコミュニケーションを図り、組織を束ねるリーダーとしてワンランク上に導くようにしていく必要があるのです。

まとめ

今回は、「歯科医院やクリニックで戦力となる人材へ育成する方法とは」というテーマについて解説してきました。

その他の業種と同じように、歯科医院においても「人材育成」や「スタッフ教育」というのはかなり重要なテーマです。

上記で述べた、観察力や共感力、洞察力を駆使しながら育成していくことが求められます。

新人育成の仕方や幹部スタッフの育成の仕方なども異なりますし、フレームワークに頼り過ぎない育成を意識するべきでしょう。

ここで挙げた人材育成法を実践し、患者さんが安心して治療を受けられる環境を提供し続けましょう。

この記事を書いた人

起業して13年目。累計30業種以上の個人起業家の起業支援や法人のWebマーケティング実務支援を行ってきた。

得意分野はWebマーケティングを活用した集客や販促法。企画によっては、数百万~数千万円を売上を上げる。

日本代表選手や国体選手らを見ているスポーツトレーナー、某地域の助成金件数No1の社会保険労務士の事務所、地域で有名な医療法人、業界No1のメディアサイト会社などのリスティングや戦略企画案などのサポート担当。

また、小田のサポートを受けて電子書籍を出版した64名のうち62名(96.8%)の方がAmazonランキング1~15部門1位を獲得。サービスを受講した方からは「説明が分かりやすい」「対応が速くて助かる」などの声が多い。

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